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転職エージェントとの電話が憂鬱で、着信を見るたびに気が重くなっていた時期がある。希望していない業界の求人を勧められて、断ると急に返信が遅くなる。担当者の熱量に合わせて自分の転職活動のペースまで急かされている感覚があって、正直しんどかった。自分の市場価値を他人任せで判断されている気がして、途中から連絡を無視するようになった。同じような経験をしている人は、たぶん少なくないと思う。
そこで思い切って、エージェントを一旦挟まず、自己分析から書類作成、面接対策までをすべてAIだけで組み立てて転職活動を進めてみた。結論から言うと、完全に一人で完結できたわけではないけれど、想像していた以上に自分の手でコントロールできる感覚を取り戻せた。この記事では、実際に何をどう進めて、数字がどう変わったのかを具体的に書いていく。
なぜエージェントに違和感を持つ人ほど動けなくなるのか
エージェントに振り回された経験がある人ほど、次の一歩を踏み出しにくくなる傾向がある。自分もそうだった。一度嫌な思いをすると、また同じ流れになるのではという警戒心が先に立って、転職サイトを開くこと自体が億劫になる。結果として何も動かないまま数ヶ月が過ぎて、気づけば同じ職場で同じ悩みを抱え続けることになる。
ここで厄介なのは、エージェントへの不信感と、転職活動そのものへの停滞感が一緒くたになってしまうことだ。担当者との相性が悪かっただけなのに、転職活動全体をやる気がなくなってしまう。自分の場合、この状態から抜け出すきっかけになったのが、ChatGPTを使って一人で自己分析からやり直してみようと決めたことだった。
AIだけで進めてみて最初にぶつかった壁
最初にぶつかったのは、自分の強みが自分でもよくわかっていないという事実だった。エージェント面談では担当者が質問しながら引き出してくれる部分を、今度は自分でAIに壁打ちしながら言語化する必要がある。最初の1週間は、ChatGPTに職務経歴を時系列で入力して、そこから成果や工夫した点を深掘りする質問を繰り返してもらうところから始めた。
正直、最初の数回は表面的な回答しか出てこなかった。自分の言葉が抽象的すぎたのだと思う。プロンプトを工夫して、数字や具体的な場面を必ず含めるように指示を出し直してから、ようやく使える自己分析の土台ができた。ここで手を抜くと、後の書類作成も面接対策も薄っぺらいものになる。この工程だけは焦らず時間をかけた方がいいと感じた。
自分が実際にやっていたのは、ChatGPTで大量に壁打ちをして材料を洗い出し、その中身をClaudeに渡して論理の穴や矛盾がないか整理させるという二段構えだった。一つのAIだけに頼ると、褒められて終わってしまうことが多い。別のAIに客観チェックをさせる工程を挟むことで、自己分析の解像度がもう一段上がった感覚があった。
自己分析と書類作成をAIに任せたら何が変わったか
自己分析が固まった後、職務経歴書と応募書類の作成に入った。以前エージェント経由で出していた書類は、書類選考の通過率がだいたい15パーセントほどだった。今回、AIと一緒に自己分析からやり直して作った書類では、通過率が42パーセントまで上がった。同じ経歴、同じ職務内容でも、伝え方一つでここまで差が出るのかと自分でも驚いた。
変わったのは、実績の書き方だった。これまでは担当した、携わったという表現でぼかしていた部分を、AIとのやり取りの中で何をどう変えて結果がどう動いたかまで具体的に落とし込めるようになった。書類作成にかかる時間も、以前は1社につき3時間ほどかかっていたのが、テンプレートと壁打ちの型ができてからは30分程度まで短縮できた。時間が減ったのに通過率は上がるという、ちょっと不思議な感覚があった。
面接対策をAIでやり込んだ結果、通過率はどう動いたか
書類が通るようになると、次の壁は面接だった。エージェントがいれば模擬面接をセッティングしてもらえるが、今回はそれもAIに頼ることにした。想定質問をAIに出してもらい、自分の回答をテキストで打ち込んで、もっと具体的にすべき箇所や、逆に冗長な部分を指摘してもらう。これを毎晩30分ずつ、応募先ごとに繰り返した。
最初のうちは回答が棒読みっぽくなってしまい、面接官にはむしろ悪印象だったと思う。ただ、同じ質問を角度を変えて何十回も練習しているうちに、自分の言葉として自然に話せるようになっていった。結果として、一次面接の通過率は以前の約30パーセントから60パーセント台まで伸びた。数字だけ見ると倍増しているが、実感としては準備している自分に対する自信がついたことの方が大きかった気がする。
特に効いたのが、退職理由をネガティブに聞かれたときの切り返しだった。以前は前職への不満がにじみ出てしまい、面接官の反応が明らかに悪くなるのを感じていた。AIとのやり取りの中で、不満をそのまま話すのではなく、そこから何を学んでどう次に活かしたいかという流れに変換する練習を繰り返した結果、同じ質問をされても落ち着いて答えられるようになった。転職活動を進めていることは周りにほとんど話していなかったが、面接での受け答えに手応えを感じられるようになってからは、日々の会議での発言にも変な緊張がなくなっていった。周囲からの見え方まで変わったのは、想定していなかった副産物だった。
エージェントなしで進める人が知らずに損していること
ここまで書くと、AIだけで全部完結できそうに聞こえるかもしれないが、実際にはそうでもない。自分でやってみて痛感したのは、非公開求人へのアクセスと、企業側との年収交渉の代行という部分は、AIだけでは埋められないということだった。
特に年収交渉は、自分で直接企業と数字の話をするのは精神的な負荷が大きい。エージェントを完全に切り離してしまうと、こうした交渉の場面で本来もらえたはずの条件を取りこぼしている可能性がある。知らないまま自己流で進めてしまうと、書類や面接の通過率は上がっても、最終的な年収や条件面で損をしたまま気づかずに転職してしまうケースもあると思う。実際、自分も最初の内定では提示額をそのまま受けそうになり、後から相場を調べて数十万円分は交渉の余地があったと気づいた。
これは自分が動いて初めて気づけたことで、動かずに悩んでいるだけでは絶対に見えてこない部分でもある。エージェントを完全に排除するのではなく、どの工程を誰に任せるかを自分で選び直すという視点を持てるかどうかで、最終的な条件は大きく変わってくると感じている。
結局、AIとエージェントどっちに転職を任せるべきか
自分なりに出した結論は、AIとエージェントを役割で分けて使うのが一番効率がいいということだった。自己分析、書類のブラッシュアップ、面接練習といった自分の言語化が必要な工程はAIに任せる。そのうえで、非公開求人の紹介や年収交渉といった他人を通した方が有利な工程だけ、エージェントに部分的に頼る。
エージェント選びに関しては、しつこい連絡や強引な求人紹介に消耗した経験がある人ほど、大手で担当者の当たり外れが平準化されやすいサービスから比較してみるのがいいと思う。自分はリクルートエージェントを見てみるで求人の幅を確認しつつ、dodaを見てみるでも並行して求人を見比べた。エージェントを使うかどうかを、自分でコントロールできる状態で選べるようになったのが、今回一番変わった感覚だった。
求人を眺めるだけならエージェントに登録しなくても、リクナビNEXTを見てみるで市場感を掴むところから始めるのもありだと思う。自分の市場価値を他人に決めさせるのではなく、AIで言語化した強みを持って、必要なところだけ他人の力を借りる。これができるようになってから、転職活動そのものへの苦手意識がかなり薄れた。
振り返ってみると、エージェントが悪いわけでも、AIが万能なわけでもなかった。自分がしんどかったのは、転職活動の主導権を丸ごと他人に預けてしまっていたことだったのだと思う。AIで下地を作ってから必要な部分だけ他人の力を借りる、という順番に変えただけで、同じ転職活動でもここまで気持ちの負担が変わるのかと自分でも意外だった。同じようにエージェントとの付き合い方に疲れている人に、この進め方が少しでも参考になればと思う。
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